非日常の一日
2021年6月16日
『花盛り 子で歩かる 夫婦(ねおと)かな』、『花鳥に 夫婦出でたつ 花盛り』・・・
いずれも江戸の世でヒットした俳句です。
褒美の盃より起こった俳句は、当時庶民を巻き込んだ一大文芸的なブームとなりました。上流階級のごくごく一部しか「詩」を詠むたしなみがなかった世界の他の地域に比べれば、世界文化史上、まことに稀な出来事であったわけです。
これにつづく明治には義太夫と芝居が大流行。また、現代忘れられがちな人世人情の機微を子供らにしっかり伝え、おとなはそれに涙する……その場がなんと芝居小屋。
関東大震災でほとんど焼失するまでそれが続いたなんて、なんとすばらしい文化を私たちはもっていたことか、おどろくばかりです。
4月8日、満開の桜の外堀 紀尾井ホールにて女流義太夫演奏会が催されました。
【近頃河原の達引 堀川猿まわしの段】
せっかく日本に生まれたのであれば日本の良さを心ゆくまで味わってみたい・・・日頃そんな思いを抱いていらっしゃる御方々を心酔させるほどの三味線(鶴澤寛也さん・ツレは鶴澤津賀花)と義太夫節(竹本駒之助)の御共演。
次回の公演会予定は、鶴澤寛也さんのHP をご覧下さい。↓↓
http://tsuruzawakanya.com/
まさに「花盛り」の一日……明治に大人気を博した女流義太夫の華やかさが、よりいっそう引き立つ感じでした。(新藤記)