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「よくわかるOrthotropics」シリーズ 第10回目

2021年6月16日

【 用語で生まれる意識のズレ 】
どの診療科にも、専門医ばかりでなく一般の方々の感覚にとっても「??」 と感じられる用語が残っています。根が張ってなかなか抜けない雑草のようなもの。

たとえば「本態性●●症」。
「原因不明で判らぬ●●症」に置き換えてみるとシックリします。

ところで、『オーラルポスチャー』がわかるほどに違和感が強まる慣用語が、矯正歯科治療の世界にもたくさんあります。そのなかの一つ、「上下顎前突」を今回は採り上げました。
というのも、これを踏まえておくと、なにかと「オーソトロピクス(自然成長誘導法)」の理解に便宜だからです。

具体的にお話ししましょう。
猫背でポカンと開いた状態が続くと、小学校に入る頃には、口元からは相対的に前歯が突出していきます。日本の子ども達にちょくちょく見かける光景ですが、矯正歯科では『上下顎前突症』とよびます。 ところが実際は、顔面を吊す前頭蓋の基底に対しては、相対的に後退して行く。つまり、後ろ(+下方)へさがった上下の顎を「前突」していますよ、と言うのは考え物です。

こんな些細な慣用語でも、意識がひきずられると見落とすことが多々あります。
● 表面上は前後(水平面)の現象であっても、実際は高さ(垂直面)の問題がベース
● 歯列と骨格の構造の問題をごちゃ混ぜに考える恐れあり
● 何でそうなるのか? の原因(オーラルポスチャーや生活上の問題、耳鼻科系疾患の関与)を忘却しがち → ※ 症状取りに奔走すれば結果は思わしくないでしょう。
● しばしば臨床者が陥りやすい思い込みとして、高さ(垂直面)の問題を歯列の幅を拡げて解決を試みる → ※ 「幅を拡げて場所をつく」って済むような生やさしいことはありません。少なからぬ場合、所期の成果はおろか問題を複雑化させます。

1997年にはジョン・ミュー氏の同僚であるDibbets がTrotmanとMacNanara の協力を得て、次のような報告をしました。
「上顎の後下方への回転や、ゴニュアルアングルの増大に関連した開口癖があればあるほど、切歯は後方へ傾斜し上顎大臼歯は過剰に萠出、上下前歯も過剰に伸び出て前顔面高は増大する」、と。