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「よくわかるOrthotropics」シリーズ 第11回目

2021年6月16日

今日は、と申しますより今日も、「ポスチャー」‥‥それほどまでに、これは大切なのです。

海外の矯正歯科医のあいだでは、昔、このような議論が盛んでした。
「不正咬合の原因は遺伝だ!」いや「環境が原因だ!」‥‥これは学閥が論陣を張るとき採用される手法で、臨床からは遊離しています。截然と定義することすら無意味なスローガンを持ち出したのには、持ち出すなりの理由がありました‥‥それは「感情」(笑)。
でも、冷静かつ穏やかに眺めてみると、この種の論争も臨床の便宜になるので興味をそそられます。

Orthotropicsでは次のように考えます‥‥
【引き金となるのは環境因子、多様に表出する顎顔面の特徴は遺伝因子(とくにpostureおよび動きのパターンで、とくに舌)】
(The cause of malocclusion is environmental, but a characteristics of malocclusion are due to muscle pattern inherited (genetics).)

これはハーボルト氏の有名なサルの実験(人工的に鼻孔を閉鎖)などで明らかです(Harvolt, E. P., Chierici, G. , Vargervik, K. “Experiments on the Development of Dental Malocclusions” 1972)。
人(ヒト科動物)では、インド人はわずかな開咬をもつⅡ級不正咬合、比較的骨格のしっかりとした日本人では口蓋扁桃の腫れがある場合にⅢ級不正咬合になりやすいことが知られています。

さらに、百尺竿頭進一歩させたのが、『オーラルポスチャー』の概念です。
【口唇はかるく触れる、上下の歯は極めて引接した状態に近づき、舌は口蓋(上の歯列の内側)に収まっている】‥‥この各部分の相対的位置の維持が、顔と歯列の健全な発育にとって、とっても有利にはたらく、と言うわけです。

※ 歯医者さんにもいろいろな治療学派があり、噛み合わせで肩の高さや頭の傾きを変える試みもある様子ですが、そちらの「全身姿勢」と『オーラルポスチャー』は無関係。自然成長誘導法(Orthotropics)は、顔と歯列の本来的な成長をひたすら引き出す方向への誘導処置であり、その発現を妨げている因子の排除にも主眼を置いています。