よくわかるOrthotropics|矯正歯科の診断・治療法をお探しの方は日本フェイシャルオーソトロピクス研究会まで

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「よくわかるOrthotropics」シリーズ 第8回目

2021年6月16日

オーソトロピクス(自然成長誘導法)における一連の治療システムは、【オーラルポスチャーに誘導されて、顎顔面と歯列が良好な発育を示す】という仮説 から、おのずと導かれたものです。
したがって、臨床のアプローチは論理的に、かつスッキリ構成されています。
複雑事象を簡素化することによって、慎重な臨床対応が可能になる、ということは重要です。なぜなら人は、大切な局面で、一点に向けた精細な制御しか出来ないからです。
ところで、不正咬合の原因を語るとき、いささか注意しなくてはならない言葉が『原因』でしょう。
欧州・米国における『原因』は、一つ前に起きた事象の中で、研究者や臨床家がとくに着目した内容のこと。
一方、我が国における『原因』は、これとは趣が違って、複雑に絡まった経過(履歴)を含めて、時間の流れとして眺めてゆくところに特徴があります。
その辺(あたを)りの微妙な事情を汲んだ上で、オーソトロピクスにおける『原因』をとらえていただきたいと思います。

●不正咬合の原因は、彼の見解によれば、「下(口蓋)からの舌の支持や歯牙の接触(時間効果)が欠落もしくは不足することによって上顎が崩壊、その二次三次の適応変化として下顎が変形する」とのことです。口蓋裂等の例外はあります。先述の欧州米国における『原因』の解釈に照らせばマトを得ています。

●長顔化、歯列の狭窄化、生理的な口唇閉鎖の不全(破綻)、下顎枝の短縮とアンチゴニアルノッチ(抗下顎角)の形成、視覚領域の保全から首を代償的に弯曲変化させる……といったからだの反応を伴うでしょう。
すると皆様は、このような疑問を抱かれるのではないでしょうか?
……「歯の大きさは?」

●実際、日本における矯正歯科臨床の場面では、明らかに歯のサイズが大きいということがあります。これについては別の機会に現実的な対応について述べることにしますが、ジョン・ミュー氏の診療所に来院する患者のほとんどは、診療所を見学した方々はお気づきの通り、我が国におけるような歯牙サイズの問題は少ないように見受けられます。仮に、そのような患者が訪れた場合、他院における異なる治療法を勧めるからでもあります。

●つまり、民族的な差異に加えて、扁桃肥大、慢性的な鼻閉、乳幼児期における軟食による筋肉の活動レベルの低下、無視することのできない形質遺伝の影響を慎重にふまえた上で、日本の臨床者は(も)、きめ細やかな、個別の状況判断をしなければなりません。